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攻撃行動へのアプローチ

昨年は、本当に深刻な攻撃行動のご相談が相次いだ年だった。

というか、不景気のせいで緊急性の低いパピートレーニングなどが減ったせいで、攻撃行動のご相談が多かったように感じてしまっているのかもしれないが、ご相談のほとんどが薬物療法の対象になったのは8年間の経験でもなかった年だと思う。

攻撃性のある犬をどう改善していくのか?よく聞かれるが、私の場合「犬に積極的に働きかけない」「声をかけすぎない」ことを大事にしている。簡単に言うと、「犬がこちらを受け入れられるようになるまでそっとしておく」ということだ。私以外のトレーナーに指導を受けた、という飼い主さんからどんな指導を受けたのか聞いてみると、さまざまなことを犬に行っていることに驚かされる。

○○する前に△△をさせる、できたらおやつを与えて、○○する

この○○というのが、沢山ある。リードの装着から、ハウスに入れる、ブラッシングをする、足を拭く、甘噛みをやめさせる、拾い食いしたものを出させる、とびつきをやめさせる、食べた食器を下げる、etc・・・
△△にはオスワリや、マテなどのコマンドだったり、注意を引くために音を出したり、舌打ちしたりすることが入る。

そうやって一日中、犬に働きかけるたびにおやつを与えていながら、攻撃行動がおさまらなかったり、おさまっていたのがぶり返したり、と一進一退を繰り返すことがある。薬物療法をしていてすら、そのようなことが起こっている。薬物療法は単純に薬が合っていない、効いていない、ということも考えられるが、基本的には劇的な犬の変化が期待できるものだ。それなのに、どうして改善できないのだろう?

「犬にコマンドする」というのはそれが衝動的、発作的な攻撃行動を起こす犬に対しては、「非常に危険な行為である」というが私の経験上の事実だ。その犬を正面から見ることすら危険なこともある、ましてコマンドをかけるなんてことをしたら、犬の緊張が一気に跳ね上がってもおかしくない。

過去に数十件の安楽死されてもおかしくない、激しい攻撃行動を起こす犬たちに関わってきたが、「犬は言葉でコミュニケーションしない生き物」として扱い、こちらが犬に合わせて(要求を飲む、ということではない)犬に受け入れられる行動をすることが重要だ。

不思議なことに、リードで行動をコントロールすることにはそれほど強い抵抗を見せない犬が多い。もちろん、じっと見ない、声をかけない、正対しない、というルールをしっかり守ってのことだが。薬物療法は、リードで犬をコントロールすることに非常に助けになってくれる。「リード=絆(ボンド)」という表現があるが、攻撃行動を起こす犬に対しては、比喩でも何でもなく、まさに一人と一匹をつなぐ最後の砦、大事な絆なのだと、常日頃実感している。

これについては、長年馬に関わってきた経験が役立っているのかもしれない。
神経質でデリケートで、些細なことに敏感に反応する生き物である馬とは、穏やかに、でも毅然と堂々とした態度で接することで、信頼と従順な態度をかちえてきたように思う。攻撃行動を起こす犬たちは、総じて神経が逆立っている状態で、私はいつも彼らの体から神経の一本一本が、ウニのように突っ立っているように感じる。まずその状態を落ち着かせ安定させることが先決で、「報酬を与えて従わせる」のはもっと後のことではないかと思う。

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プロフィール

MahoYoneta

Author:MahoYoneta
北野ドッグスクール代表
ドッグトレーナー

1989年 日本訓練士養成学校で犬の訓練を学ぶ
1990年 日高にある競走馬育成牧場で働く
1991年〜1995年 乗馬クラブでインストラクターを務める

2004年 札幌市内の自宅を拠点とした「北野ドッグスクール」を開設
専門:問題行動、攻撃行動の改善
営業内容:出張訓練、預託訓練、ドッグホテル、ドッグフードおよび犬具の販売

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